旅立ち

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 王様や王妃様もマリー様は一人娘だし、とてもかわいがっているという。    「バージニアで人質暮らしなど、幼い妹にさせられない。となれば、残る選択肢は第二王子である自分がバージニアに行くことしかない。この景色を見に来たのは、この丘から見える景色を心に刻みたかったからだ。そして君に……しばしの別れを言うためだ。だが、だめだな。君を見ると決心が鈍る」  アーサーは、私の肩をぎゅっと抱き寄せた。ほっとする、彼の香り。私があげたポプリを身につけてくれている。  カモミールがほんのり漂った。  「バージニアへ行くのですね。くれぐれもお身体に気をつけてください。お手紙書きます。いつかお手紙をやりとりできなくなるかもしれないですが、私はいつまでもアーサー様のことを忘れません」  「どういう意味だ。私が君を忘れるとでも?」  「いずれ、王子様はバージニアの姫と結婚されると言われています。私はアーサー様を困らせたくない」  「あちらに一時的に住むが、必ずロゼリアの元に戻るし、君を正妃に迎えるつもりだ。あちらとは婚姻関係を結ばなくても、いいようにするから」  「何か方法があるのですか?」
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