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光が飛び込んできた方を見ると、そこには空地がある。
空地は草だらけであり、その種類も様々。中には人の背丈くらいのものもある。
特に用がない限り、こんな所に入ろうとは思わないだろう。
だが、光は空地内といっても手前側から放たれており、しゃがんで手を伸ばせば届きそうだ。
――気になるな。
――地面の所できらきらしてるけど、もしかしたら、蝮の目が光を反射して輝いてるだけなんじゃないか。
この辺は、そこそこ自然が豊かだからか、蝮の目撃例がある。実際、近所の公園や神社等に「まむしに注意」と書かれた看板がある。
――噛まれたら、入院して血清を打ってもらうことになるのだろうか。
――最悪、死に至ることもあるらしい。
――だが、そうなることはまれだ。
――いや、蝮ではなく、宝石や貴金属かもしれないぞ。
――虎穴に入らずんば虎子を得ず。
――思い切って取ってみよう。もし、蝮だとしても血清を打ってもらえば何とかなるだろう。
彼はスマホをブレザーのポケットに入れた後、そのまましゃがみ、手を草藪の中に伸ばした。
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