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――何かあるぞ。
彼の手が何かを掴んだ。
手触りはつるつるとしていて冷たい。形は丸みを帯びているようだ。
草藪の中から取り出してみる。
「これは……」
大きさといい、形といい、卵そのもの。色だって白い。だが、光沢があり、所々が虹色に輝いている。まるでオパールのようだ。
「きれいだ……」
それを手にした彼の口から感嘆の声がこぼれた。
――何だろうか、これは?
――落とし物だろうか?
――いや、こんな所に落とすことなんてあるのだろうか?
――誰のものでもない可能性だってあるぞ。
彼は辺りを見回す。
「誰もいないな」
彼は卵のようなものを鞄の中に入れると、ブレザーのポケットからスマホを取り出し、再びいじりながら歩き始めた。
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