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ついに、最後の一人になっちまった……。
坂口龍一は走っていた。深夜、廃墟となった遊園地を……。
いったい何が起こっているんだ?
月の光が、動きを止めて久しい遊具の数々を照らしていた。
錆びついた観覧車は年老いた巨大生物のような姿で、必死に逃げまわる龍一を見下ろしている。
夜空にひびが入っているように見えるのは、死んだジェットコースターのレールが広がっているからだ。
風が吹き、割れた案内板が揺れてカスカスと鳴った。
息を切らしながら、龍一は回らなくなって何年経ったのかわからないメリーゴーランドの輪の中へと入っていく。
中心部にまで進み、馬車の後ろに隠れるようにしながら座り込んだ。
神経を研ぎ澄ませ、気配を探る。
今のところ、近くには誰もいないらしい。
なんでこんな事に?
さっきまでのことを思い出す。
死刑囚が、龍一を含め10人、突然目隠しをされ車に乗せられた。あれは2時間くらい前だっただろうか?
車が停まり、龍一達は降ろされた。
連れてきた者達が「100数えたら目隠しを取れ」と言っていなくなった。
言われたとおりにしてみると、深夜の廃遊園地だったのだ。その中央あたりにいた。
「なんだ?」
「どうしてこんな所に?」
困惑する10人の死刑囚達。
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