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春、花びら、ヒラヒラ。
バイクを町へと、走らせていると、カラフルな色とりどりの花びらがヒラヒラヒラと降ってきた。
これは、『花の雨』と言って、【天の国】から降ってくるものだ。
サラは、バイクで花びらの間を駆け抜けた。
* * *
デコボコした花畑の丘を、バイクで走っていると、白い四角いたくさんの建物が見えてくるのが分かった。
「もう着くね。」
サラは呟いた。
町に着くと、サラはバイクを止めて、ヘルメットとゴーグルを脱いで、頭を横にフリフリと振った。
髪の毛に引っ付いていた、花びらがヒラヒラと髪から滑り落ちた。
犬用のカゴを開けて、不知火を外へと出す。
人を探して、一人と一匹は白い町の中へと歩いて行った。
町は、静かでほとんど人がいないようだ。
町の中心部まで歩いて行くと、人だかりができてる事にサラは気づく。
「何かしらね……?」
サラは呟いた。
ザワザワと三十人くらいの町人が、集まっている。
その中央には、青い髪の女がいた。
サラは、彼女の事を知っていた。
彼女の名前は、レイハ。
人だかりの後ろで話を聞くサラ。
レイハが、
「はい、はーい。みんな、静かに。…それで、その女の子、ユナちゃんは、どこでいなくなったのかしら?」
町の男が言う。
「森の中の入り口近くで、キノコ狩りをしていたのだが、知らない間に、ユナはいなくなっていた。どうか、ユナを見つけてくれ。」
レイハは、考えながら、
「おそらく、『YOUKAI』の仕業ね…。分かったわ。私が、なんとかしてあげる。」
町の人が、レイハに感謝していると、人だかりをくぐり抜け、サラがレイハに話しかけた。
「レイハ…。私も手伝うわ。」
サラが言った。
「あら。誰かと思ったらサラじゃない。」
レイハが言う。
レイハは、青い髪のワンレンボブをした、女の子だ。おでこが出ていて、髪を二つに分けている。
黒いドット柄の青いブラウスに、濃いグリーンがかったパンツを履いていて、ちょっとクールな印象だ。
レイハの足元には、尻尾が三本生えている、三尾の狐がいた。
「心配無用よ。ここは、私が先に来たの。他へ行ってちょうだい。」
レイハが言う。
「『YOUKAI』を倒す目的は、皆んな一緒のはずよ。それに、二人で倒した方が早いわ。」
サラが言った。
「そう言って、私の手柄を横取りしたいんでしょう?そうは、させないわ。」
レイハが言った。
「そうじゃないわ……。」
サラが戸惑いながら言う。
「『YOUKAI』は、私が一人で倒す。」
そう言って、レイハは身を翻し去って行った。
仕方ない…。レイハが倒すなら、他を当たるか。
サラは、この町のギルドを探す事にした。
ギルドは、どの町にもあり、宇宙人が経営している。
宇宙人のギルドは、『YOUKAI』の目撃情報や、依頼を受ける事もできる他、ファストフードや、ドリンクも売っているので、困ったら、先ずはギルドに行くのが鉄板だった。
「行くわよ。不知火。」
サラがそう不知火に言った。
* * *
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