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「なぜ俺たちの手助けをしてくれるんだ?」
「さらに混乱するかもしれんがな」
シバは顎髭を撫でるとにやっと笑った。
「もう一人、ウェレーズ家の婦人と儂の間に生まれたのがサイファだ」
「はああぁぁぁ?」
完全にセナの思考が停止した。
「残念ながら、というか本人にはラッキーなことに純血ではなかった。だがさすが儂の息子じゃ、そのへんのヴァンパイアとは桁が違う。優秀なことはお前も認めておるじゃろう?」
もうセナの頭は大混乱で、整理をつけなければ先に進まない。運転していたのがシバで良かったろう。きっと事故を起こしていたに違いない。
「ま、待ってくれ、父上のアルフレッドと母上のアンジェリッタとの息子が俺?」
「ふん」
「シバとウェレーズ夫人との息子がマデリーノ?」
「ふん」
「シバとウェレーズ夫人との息子がサイファ」
「よく出来た」
「サイファはこのことを全部」
「知っているかって? 知っとるよ。儂が話したからな」
「あの野郎……今度会ったら」
「ぶん殴るのは3年後だな」
シバは高らかに笑った。
「儂も務めを果たしただけじゃ。人数は少ないが血統を守ることに協力したのだから。あいにくマデリーノは殺されたがな」
「でも結局リデロー家の血統を守ったのは父上のアルフレッドだ」
「そうそう。だから儂は務めを果たしたことになる」
「……まさかとは思うけど」
「どういうまさかじゃ?」
「父上の父上って……」
「当たりじゃ。お前はれっきとした儂の孫であり、現存している最高の血統主ということになる。ま、儂は死んでいることになっておるからな」
「祐斗、理解できたか?」
意外にも祐斗はすんなり受け入れていた。
「お祖父ちゃんの息子がアルフレッドで、その息子がセナお父さん。マルデリーノとサイファは兄妹で、お父さんの伯父さん」
「若い方が頭が軟らかいのぉ」
シバは、またカラカラと笑った。
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