平穏な生活

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遡ること9時間前。 「はよ」 「「おはよう。新」」 いつも通り登校して、クラスにいる皆に挨拶。 真ん中の列の真ん中の席に向かえば、皆俺に挨拶してくれる。 席に着けば、前に座ってる須藤 史也(すどう ふみや)が振り向き頭を撫でる。 「新。おはよう。今日も相変わらず可愛いな」 「ハイハイ。どうも」 頭を撫でられてる手を払いのける…なんてもうしない。 もう慣れた。 慣れって怖いね。入学当日からまだ友達でもないのに、俺の頭を撫で、可愛いと言う。 初めは『バッカじゃねぇの』って怒りながら叩いてたけど。 流石に毎日続けられると、慣れてしまって。 叩き落とすどころか、それがないと朝が始まらないって思ってしまう。 「ん。やっぱ可愛い。今日も癒された」 「それは良かったですね」 “可愛い”この言葉。 俺の周りでは良く聞く言葉で。 って言っても、皆俺に言ってくるわけで。 自分で言うのもあれだけど、可愛いとは思う。所謂女顔。 顔の特徴…教えない。 想像に任せるよ。 俺も出来れば想像したくないから(笑) いまだに私服で街を歩いてても女と思って声を掛けられることもシバシバ。 妹が欲しかった姉が俺をオモチャの様に遊び、着せ替え人形させられて。 中学までは女の服着て外に連れられることもある。 それが嫌で、姉貴達から離れたこの寮のあるこの男子校に入学した。 それが間違いだったかもと、今になって思ってる。
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