平穏な生活

3/8
前へ
/9ページ
次へ
「それ、どうした?」 史也は俺が持ってた手帳を指差して。 「あぁ、さっき外で拾ったんだけど、3年生のみたいで。 持っていきたいんだけど…着いてきてくんない?」 寮から学校に行く途中で見つけた手帳。 学年で色分けされてるから3年ってのはわかるけど、中までは見てなくて。って、正直毎日ギリギリで登校するから見てる暇なかったんだけど。 持ってた学生手帳を史也に渡せば、中を開いて確認… すると、スッと絵顔が消えた。 「新はここにいろ。俺が持ってく」 立ち上がり頭をポンポンと叩かれたけど… 「いや、俺が拾ったし俺が行くよ」 「ダメだ。この人には会わせられない」 「何で?」 「何ででも!いいからここにいろ。 智ぉー」 史也は近くにいた真中 智(まなか とも)を呼び、耳許で何かを伝えて教室を出ていった。 智は史也が座ってた椅子に座り、机に肘をつき掌に顎をのせ俺を見てる。 俺も同じように智に近寄り片ひじつけて顔をのせて聞いてみれば。 「ねぇ、何で俺が行ったらダメなの?」 「可愛いから」 「智も可愛いじゃん」 「僕と新はまた違うからね(笑)」 智も可愛いし、モテる。 それにこの学校に彼氏もいる。 だからなのか、偏見なんてこれっぽっちもなくて。 ただ自分が…って考えるとゾッとするだけ。 俺は幼く見えて女っぽい可愛い系。 智はキレイ系だ。 「意味がわかんない」 「いい加減、モテてることに気づきなよ(笑)」 「男に興味はない!」 「そんなこと言って…意外に新たな扉が開いちゃうよ」 智が軽くウインクしただけなのに、周りにいた男達がゴクッと唾を飲むのがわかる。 それに…“ピコンッ”隠し撮りされてることも。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加