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「シャワー室、使っていいぞ」
大島は汗だくだ。私も汗ばんだ。彼は着替えがあるようだけど私は無い。
着替えがあっても着替えたら怪しまれる。
シャワー室も簡易のものであまり綺麗とは言えないが髪の毛は結ってボディソープで体を洗った。あの野蛮な男の汗やらなんやらがまとわりついた体を綺麗にしたい。
大きなバスタオルで体を拭き、もう一つのシャワー室から大島先生が出てきた。彼は頭から全部シャワーを浴びてタオルでわしゃわしゃ洗っただけで髪の毛もすぐ乾くだろう。
「すまんな、戻ろうか」
なにがすまん、なのかわからないけど私は頷くしかなかった。
教室戻ると人だかりができていた。
「なんだ……掃除さぼっていやがるのか」
大島先生が先に教室に入っていく。
「大島先生! 湊音くんが三葉先生見て鼻血出したんです!」
誰かが鼻血? 私はポッケをさぐるがティッシュはさっき大島先生が使ってしまって顧問室に置いてきてしまった。
って三葉……彼女の
「大丈夫かぁ? 三葉せんせーすいませんね、若いやつだからちょいと血の気が多くて。ここは女子生徒少ないクラスだから……んねぇ」
三葉に色目使ってたくせに。多分こんな男は相手にしないだろうな。実際相手にしてないし。
三葉が私をチラッと見た。
「倫典どけ、そんなんじゃ余計に鼻血出るわい。ほれっ! 体起こせ、湊音」
湊音……。
「ぐへっ」
ちょっと大丈夫かしら。大島先生は無理矢理過ぎるんだから。
私は湊音、と呼ばれる生徒に声をかけた。
「大丈夫?」
ハンカチ……しかなかったけど。
「これ使って」
彼は戸惑ってた。すると大島先生が
「ああ借りるな」
もう、ガサツ過ぎる。
そこに1人の生徒がやってきた。トイレットペーパー持って。
「湊音! トイレットペーパーもってきたぞ!」
ああ、一足遅かった。私のハンカチ……新しいやつだった。赤く染まってるけどしょうがないわ。
なんとかして湊音くんの鼻血は止まったようだ。
……湊音。
名札を見た。槻山。槻山湊音。私は湊音くんをじっとみた。
「あとは塵紙つめとけ、ハンカチも洗って返せよ」
ハンカチは彼の血で染まった。洗うには血液汚れの洗剤が必要だけども……別にいいのに。
「はーい、美帆子先生の授業始めるから座れよ」
大島先生の声は本当に大き過ぎる。……そうだ、授業……。ほとんど彼とセックスしてて準備はできていないけど。
「荷物、取りに行ってきます」
「そうだったな……行こうか」
私は職員室に戻った。
だが大島先生に抱かれているよりも何か鼓動が増す。
槻山湊音……。
槻山……。
あの人の……。
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