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清潔な白い陽光は、寂しい色にも見えるのだと、僕は初めて知った。
腕の中で、ゆっくりと温かな体が動く。しばらく、ぼんやりとしたままだったその体が震える。
「おはよう、グレン」
「どうして……!」
彼が僕をきつく抱きしめ、縋った。
僕は震える彼の背を撫でた。
「一緒に帰ろう。
君に、プレゼントがあるんだ。
少し汚してしまったけれど、
髪の色にそっくりな、黒玉のタイピンなんだ」
「エリス、エリス……!」
「グレン」
僕が消えないか確かめるように、額をすり寄せてくる。
お互いの涙が混じった。
「エリス、…………私は、あなたが好きです」
「僕も、君が好きだ」
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