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鉛筆を走らせる音だけが響く会場。璃子も問題文に目を通すと迷いなく手を動かした。
いじめを見つけたらどうするか。ネットに上げてはいけない個人情報は何か。道で倒れている人を見つけたらとる行動は、といった常識クイズのような問題ばかりが並んでいる。
(何よ、簡単じゃない)
璃子は解答を選んでマークシートを塗りつぶしながら口を尖らせた。
モラル免許の試験を受けるにあたり、両親が何度もお前にはまだ早いと止めようとしていたのを思い出したからだ。もう高校生なのに、こんなことも分からないほど馬鹿だと思われていたということだ。
(それに最後の問題は何? あなたは道徳的行動を本当に取ることは出来ますかなんて、はい以外には答えようがないじゃない)
璃子は迷うことなく『はい』にあてられた一番のマークを黒く塗った。
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