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「……お前らいつまでやってんだ。邪魔なんだけど」  璃子たちがドリンクバーの前で騒いでいると、背後から不機嫌な声がかかった。振り返ると同じクラスで幼馴染の源治が空のグラスを持って立っていた。休日なのに学校指定のジャージを着ている。 「なんでいるのよ」  思いがけないところで会えて嬉しいのに口から言葉が素直に出ない。 「練習試合の打ち上げ。それより、終わったんならどいてくれ」  源治のつっけんどんな言い草に、璃子は自分のことは棚に上げ口を尖らせる。 「そんな言い方しなくても良くない?」 「お前らが子供だからだろ。ちゃんとした相手なら俺も考える」 「私もモラル試験受けたの。絶対受かってるはずだから、私もアンタが言う大人になるんだから」  源治はすでにモラル免許を持っており、同い年なのにいつも璃子のことを子ども扱いしていた。だからもう対等だということを強調したのだが、源治は璃子のことをじろりと見ると鼻で笑った。 「お前みたいに、周りのメーワク考えないヤツが受かるとは思えないけどな」  源治はそれだけ言うと、ジュースを入れ終わったグラスを持って行ってしまった。 「源治もだけど、璃子もそんなに突っかからなくてもいいんじゃない。ま~た誤解されちゃうよ」  璃子たちの様子を伺っていた真理が呆れたように言った。 「アイツがどう思おうと、どうだっていいし」 「好きなくせに無理しちゃって」  璃子は強がったが真理にはバレバレだった。それでも「好きじゃない!」と言い捨てて席に戻る。その後を肩をすくめて真理が追った。  そしてまた騒ぎ始めた璃子たちに他の客たちは迷惑そうな視線を向ける。  その一部始終を客の一人がどこかに報告していた。
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