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「試験はどうだった?」 「簡単すぎて寝るのを我慢するのが大変だったよ」  帰るなり心配そうに聞いてきた母に素っ気なく返す。源治といい母といい私が落ちていると言わんばかりだ。ふてくされた様子の璃子に構わず母の小言は続く。 「まだ試験結果が来るまで時間があるんだから気を抜かないのよ」 「なにそれ。試験は終わったんだから、もう結果は変わんないよ。それより絶対に受かってるから新しいスマホ買ってよね。制限がないヤツ」 「まじめに聞きなさい。いつも言っているけどちゃんと周囲に優しく、思いやりを持って接さないとだめよ」 「聞き飽きた。おんなじことばっかでウザいんですけど」 「璃子が何度言っても直さないからでしょう」 「ほんとウザい」  小言がいつもの説教に変わる気配を察し、璃子はそれだけ言い捨てると自室へと荒々しく戻った。大きく音をたてて扉と鍵を閉めると、後からノブを回す音と「璃子!」と鋭い叱責の声がしたが無視をする。荷物を放り投げ、璃子はベットに飛び込んだ。部屋の前で何か言っていた母もしばらくすると諦めて去っていった。 「……みんなして何なのよ」  璃子は苛立ちまぎれにベットに置いていたクッションを扉に投げつけた。 「絶対に受かってるんだから」  自分に言い聞かせるように璃子は呟いた。
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