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火のない所に煙は立たぬとはよく言ったものだと思うのは、まさか誰も想像しないであろうキュウリで処女膜を破った女のウワサを聞いたからで、その女がスーパーでエロそうなキュウリを万引きし、丁寧にゴムを履かせてブチ込んだというニュースは瞬く間に学校中に広まったが、いかにもそういうことをやりそうな女だったので僕は驚かない。むしろ驚かされたのは、受験を控える中学3年生になってその女の態度が豹変したことだった。今まで近づく人すべてを拒絶していたキュウリがいきなりクラスで顔を真っ赤にしながら長州小力のものまねをするようになった。「キレてないっすょ!!」
試験期間は勉強のために早く帰れるのでみんな遊びにでかけていたが、おれには友達がいなかったので家のパソコンでエロサイトを漁る日々だった。パソコンのある部屋が西向きで、夕日がやたら眩しかった。親が帰る前に済ませなければならないので、夕焼けに染まる部屋の中、食い入るように画面の中の人をみつめた。小学生の頃は僕にも友達がいたし、やりたいゲームもあった。でも、仲の良かった友達がこぞって私立中学へ行くために受験勉強をするようになって、僕には一緒に出かける仲間もゲームをする仲間もいなくなった。あるとき、キュウリがさきっぽの話をしていた。男のあれの先の形がグロすぎてあり得ないとおっしゃる。おれはそのころ、不運にもエロい単語を国語辞典で調べることにはまっていた。だから、躊躇なく、かつ、ドヤ顔で言ってやった。キトウって、亀の頭って書くんだぜ!!その時から、おれのあだ名はキトウになった。
こうしてキュウリとキトウは仲良くなった。ついでにキュウリとさきっぽの話をしていたアホカワイイ女とも話すようになった。キュウリとアホカワがふざけてじゃれ合っているのを見るのは素晴らしかった。特にキュウリがアホの脇腹をツンツンして、アホが背中をクネクネさせるのは見ごたえがあって、食い入るように見ていたので、2人も俺が見ているのに気づいたらしく、わざと見せつけてこちらの反応を楽しみはじめたので、とても興奮した。
ある日、キュウリが言った。キトウ、お前、産婦人科医目指しなよ。頭いいし、エロいから天職じゃん???産婦人科医なんてどうせスケベなやつしかやらないけどさ、お前みたいなのが産婦人科医だったらまだマシだったと思う。おれはキュウリが急患で運ばれて来る場面を想像した。「お嬢ちゃん、いいキュウリを選んだね!!!」
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