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「………ふぅ。」
すっかりのぼせてしまった。
テレビで見るような旅館の一室。
ラタン調の椅子に腰をかけ
息をついた先に見えたのは
窓に反射した少し寂しそうな私だった。
2泊3日で行く
束の間の非現実。
いつものように
彼が私の世界をまた一つ広げてくれる。
新鮮な海の幸を食べ
普段は見られない街並みを眺める。
夜は露天風呂付きの旅館で
向かい合いながら軽くお酒を嗜む。
一人の私では到底出来ないことを
容易く私に魅せてくれる彼が
1つ歳下であるという当たり前に
何度目かの新鮮な驚きをする。
「………はぁ。」
湯冷めと共に顔を出す
疲労感や眠気が迎えに来る前に
彼は戻ってくるのだろうか。
明日が時計の針をいじる前に
彼は戻ってくるのだろうか。
次の波が寄せては返す前に
彼は…
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