私の記憶は桜と共に散った

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「起きよ。」 私は眠気眼を擦りながら、制服に着替えた。 そして、1階のリビングに向かった。 「おはよ。友華。」 母親が私に声を掛けた。 「今日も眠そうだな。」 大学生の兄の理人が言った。 「また変な夢見てさ。」 「また?」 母が心配そうに私の顔を覗き込んだ。 「目の下にくまもあるし、心配だわ。」 「毎年のことだから、慣れっこだけどね~」 私は母に心配をかけまいと、努めて明るく答えた。 私の家族は、母と、高校二年生の私と、大学3年生の兄の理人の3人暮らしだ。 私が幼少期の時に、父と母が離婚した為、父親の記憶はほとんどない。 それでも、私は温かい家族に囲まれて幸せな日々を過ごしていた。
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