霞草/桔梗/金木犀

4/4
前へ
/58ページ
次へ
*金木犀  ・蝶々  ・手のひら  ・謙虚 「君って謙虚だよね」 「そうかしら?私はそんなことないと思うのだけど…」 「謙虚だよ。あ、悪い意味じゃなくてね?」 「ええ、分かってるわ」 もっと甘えてくれてもいいのにと、思わなくもない。 だがしかし、蝶々のように美しくて、少し儚げで、俺の事を常に思いやってくれる彼女が好きだから。 そんな彼女のこと全てを受け入れてあげたいと思う。 「もっと頼ってくれてもいいんだよ?」 「充分頼ってるわよ」 立ち上がるのを助けるために手のひらを差し出せば、その上にちょんと置かれる細い指。 ありがとう、と言って笑う彼女を見ると、いつでも守ってあげたくなる。 「帰ろうか」 「今日も送ってくれるの?」 「もちろん」 彼女の可愛らしい笑顔に答えるように、俺も口角を上げる。 俺の分と、彼女の分のカバンを肩にかけて、俺は彼女の白い指に自分の指を絡ませた。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加