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20世紀最後のジンカイト
「ジンカイト、貴様というやつは~」
2人に腕をつかまれてはさまれた格好になったその人物、女ボスに何度もムチで打たれ続けた。
「今や世界中で我が組織の活動が行なわれている。だが貴様が担当した地域は計画が遅れている。なぜだかわかるか。貴様が与えられた任務を果たさないからだ」
「そ・・・そんなこと言ったって・・・世界征服なんてまっぴらだ」
「黙れ」
「待って下さい。こいつを任務から外してはいかがでしょうか」
2人のうちの一方のヘマタイトが話し出す。
「こいつは我が組織の鉄の掟を3つ犯しています。1つは先程もボスが仰せられた通り、任務を果たさなかったこと。1つは世界征服に反対したこと。そしてあと1つは、よくウソをついたことです」
「へっ、我が組織はウソも方便ではなかったかな」
「いやネフライト、こいつの場合、意味不明なことをよく言うんだ。オニキスにはムーンストーンという弟がいるとな。だけどそのような者はいなかったぜ」
「いやぼくは、占いをやっているんだけど、よく外れるんだ」
ジンカイトは反論した。
「おおそういや、この前はヒスイが世話している動物はカワセミだ、とか言ってたな、ヘマタイト」
「おおそうか」
2人は笑った。
「そういうわけで、こいつをこの際、処刑いたしましょう」
「そういうわけにもいくまい。あれをやるには貴様ら3人がそろっていなければならん、ヘマタイト」
「おお。しかしあれをやるまでもないでしょう。我が組織の活動は全体的には順調に進んでおり・・・」
「大変です、何者かがこちらに接近してきます」
通信員の1人が叫んだ。
「何。おい、スクリーンに映し出せ」
部屋の上の方にあるスクリーンに外の様子が映し出された。
「あ、あの2人は、我が組織にとっての最大の要注意人物。いわゆる勇者とか」
「これまでの我らの計画をことごとく妨害してきたばかりか、ついにここの本部を突き止めたということか」
ヘマタイトとネフライトの説明を聞き、女ボスは命令した。
「ようし、こうなったら、さっき言ってたあれを即実行せよ」
「え、あれをですか。しかしそれは最後の手段で」
「相手は最大の敵だ、迷うことはないぞ、ネフライト」
「そうか、ようし、さあ、ジンカイトも来い」
「いや、ぼくは」
「何を言ってる、今更。このためにこれまで訓練とかしてきたではないか。それにやつらを倒せばおれ達は大出世だぞ」
「わ、わかった」
3人は本部の基地を飛び出し、勇者達を待ち構えた。
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