20世紀最後のジンカイト

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洞窟の中で3人が休んでいた。 「おい、一体どういうことだ」 「私にはできなかった。この子をあやめることが」 「だからって、こいつは敵だぞ」 1号と2号は言い争っていた。 「おい、起きたぞ」 助けられた青年は、上半身だけ起き上がった。 「待って」 2号が剣を取り出そうとするのを1号が止めた。 「え、もしかして、ぼくを助けてくれたの?」 青年はつぶやいた。そのあと1号の方を向いた。 「お姉ちゃん、女だね」 それを聞いて、1号は全身を覆っている宇宙服のような物の頭の部分のヘルメットを外した。 「よくわかったわね」 「わあかわいい。び、美少女」 「え、かわいい?私、そうやってほめられたことがなくて。あなたが初めてよ。私、醜い姿を見られたくなくて全身を隠していたんだけど」 「何言ってんだい。それなりにかわいいぞ」 2号が口をはさむ。 「ああやっぱり、私って醜いのね。女であることを知られないために低い声に変換していたのよ」 「それで男装のつもりか。だけど宝塚にはそのような宇宙人みたいなのはいないぞ」 「だけどどうして私が女性だとわかったの?」 「ぼく、占いができて組織でもそういう任務をやっていたんだけど、外れてばっかりで。さっきはそういう予感がしたんだけど、本当に当たって自分でもびっくりしたんだ」 「あらそうなの。だけど今度生まれ変わる時はせめて男声にでもなれれば」 「ついでに、お兄ちゃんは、故郷を失って、そこから武器や鎧の贈り物を授かった」 「おお、ほぼ当たってるな」 「ねえ、この子を仲間にしない?」 「何だと。こいつは敵だぞ」 「違うわ。私にはこの子から正義を感じるわ」 「ああそうかい。勝手にしろ」 「ぼく、名前はジンカイトと言います」 「おう、宝石みたいな名前だな」 「ちなみに、お姉ちゃんはサファイア、お兄ちゃんはエメラルドです」 「おい、組織では名前付けもやってるんかい」 「まあ似たようなものです」 「そうかい。だけどこいつは勇者1号。女性初の勇者だから1号って言うんだ」 「そしてあなたは私の後輩だから勇者2号だったわね」 「ということは、ぼくは勇者3号だね」 「そういうことだ。ようし、もう少し休んだら敵の本部に乗り込むぞ」 3人は意思を一つにした。
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