序章
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序章
ざざーん、ざざーんと波の音。鼻腔を擽るは潮の匂い。眼下に広がるは吸い込まれそうな青い海。ちらりと横に視線を滑らせると、潮風に黒き髪を靡かせる懐刀がいる。 「時雨、随分と国元から離れてしまったなあ」 「そうですね。こんなに離れると、恋しくなってしまいそうです。ですが、楽しくもあります」 海の見渡す時雨の赤い瞳は、きらきらと子供のように輝いていた。
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