アフターエランはウサギとともに

　世の中はすっかり様変わりし、多くの仕事をＡＩやロボットが肩代わりするようになっていた。
　彼らが生み出す利益はベーシックインカムとして人々に還元され、生活するだけなら何とかなる収入を働かずに得られるようになった。
　エランに疲れ切っていた人々は仕事をしなくていい毎日をよろこんで受け入れた。

　もしこれがエランの世の中でなければ、ベーシックインカムでは満足できない人々がＡＩやロボットに奪われて残り少なくなった人でなければならない仕事を取り合って争っていたかもしれない。
　だが、エランの世の中では旅行も趣味もままならず、人々はより贅沢をするために働くことに興味を持たなかった。
　医療従事者をはじめとする特殊な能力で働き続ける人々を、かわいそうに思いながら人々は働くことから遠ざかって行った。