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真由の友達の多くが亡くなった。
仲良くしていたママ友の気持ちを考えると、声をかけるのもはばかられる。
香奈枝の両親も夫の両親もエランの犠牲になりもうこの世にはいない。
そして、祖父母たちにいたっては言うまでもない。
香奈枝は友に連絡することもしなくなった。
お互い家族を失って笑って話せる雰囲気にはならないのだ。
電話をかけてもし本人が電話に出なかったら、亡くなったのではと不安になるに違いない。
それが怖くてあっという間に疎遠になり、今は誰がどうしているのかもさっぱりわからない。
生きていて欲しいと祈る毎日だが、エランが収束するまでは連絡する気になれない。
孤独を感じながらも友に連絡できないもどかしさを感じながら、香奈枝は子供と二人きりの生活を続けていた。
頼れるところのない不安は思った以上につらかったが、みんな自分の家族のことだけで精一杯なのだとわかっていたから耐えるしかなかった。
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