アフターエランはウサギとともに

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 エラン流行開始から3年目を迎えた現在、できる限り家を出なくなった人々のおかげで最初ほどの感染爆発は起っていない。  専門家が当初3年と予測していたエランの収束はいまだに遠い。  エランは今も型を変えながら流行を続けている。   特に問題だったのが動物から人間に感染しないというのが定説が覆されたことだ。  牛、豚、鳥と言った家畜は次々と殺処分され動物性のタンパク質をとることが難しくなった。  エラン流行後、たくさんの人との別れを経験した人々は癒しを求めペットを飼いはじめた。  だが、動物を介してうつるエランは危険だということで新たに飼うことが禁止された。  すでに飼われているペットも危険性の高いものは政府が回収にまわった。  回収された後どうなるのかについて政府はなにも発表していない。  おそらく殺処分されるとわかっていても、人々はあの悲惨だった1年目が繰り返されるのを恐れ素直に従った。
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