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兄も絢香たちも必死に声を掛けていた。
どのくらい経った頃だろうか父親は思いっきり息を吸ったかと思うとふーーっと静かに息を吐き、そのあとゼーゼーゼーゼーと息をすることはなかった。
最後に一度だけきれいな肺に戻ってきれいな息を吸って吐いて逝ったのだ。
もしかしたら、神様が最後に一回だけ、気持ちのいい息をさせてくれたのではないかと思った。
兄が「長い間、お疲れ様、ありがとう」と泣きながら言ったのを絢香は忘れることはないだろう。
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