神様からの最後のひと息

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「なんでそんなことを言うんだよ……」 父親の顔が曇る。 絢香は「ま〜ま〜、いいからいいから、お父さんケーキ食べて」 兄が「10分もすれば、今の事を忘れるから平気だよ」と言った。 それでも悲しいのだ。 絢香の気持ちも実は沈んでいたのだが、自分が来たのは、少しでも優しい時間を持つためだろうと言い聞かせ気丈に振る舞うのだった。 「かねこさんのケーキ、お父さん大好きでしょ」 すると父親は、うなずきながらフォークを持ってケーキを食べ始めたのだが、まわりに巻いてあるセロハンを取らずに食べ始めたので絢香が取ってあげた。 いちごのショートケーキを一生懸命に食べる父親に絢香は作り笑顔をむけるのだった。
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