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それからひと月ほど経ったある日、兄から「親父が今朝入院した」と連絡が入った。
肺が思った以上に悪くなっていたらしい。
父親は長年たばこを吸っていたので理解はできた。
絢香が病室に行くと気がついたようで父親は力無く一瞬、笑ったように見えたがまたすぐに眠ってしまった。
呼吸するたびにゼーゼーと、ものすごい息遣いだった。
医師の話では、もってあと一週間くらいだろうと言うことだった。
幾つもの管が身体に繋がれているのを見て何だか死がいきなり目の前に現れたような気がした。
その後、医師の診断は、はずれ父親は持ち直し、話せるまでになった。
ベッドに寝ているだけだったので思いのほか肺が温存されたのではないかと言うことだった。
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