一話 最悪な出逢い

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一話 最悪な出逢い

 生まれてきた日。  その孤独に泣いた。  その頼りなさに泣いた。  傍に君が居ないことに泣いた。  自分が生まれ変わったと知った時、現世でも、必ず君に会おうと誓った。  歳を取っていく度、可能な限りあっちこっち探したが、手がかり一つ見付からなかった。  もう会えないのかと思うとまた、どうしようもない絶望と喪失感が押し寄せてきた。 「会いたい」が募る程、苦しさが増す。 ーーーーーいっそもう、忘れてしまおうか。  そう思って、縁も所縁もない大学を受験した。  もう俺は、今の人生をただ生きていこうかと、そう思っていた矢先の出来事だったのだ。 “彼”と再会したのはそう、きっと、諦めてしまいそうだった俺の心を、神様が押してくれたに違いない。
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