12.

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「お前と大河に会いに行こうとしたが、お前がちょうどヒートの時に出くわしてな。誘われるがままもあったが、治めようとしていた」 動揺で瞳が揺れる。 何も覚えては、いや、うっすらと覚えているような。 「申し訳ございません。慶様のお手を煩わせてしまい······。そもそもヒートの時にそのようなことをしてしまうだなんて······間違いを起こしかねないというのに」 「そのようなことを気にするな。お前が辛そうだったからしたまでだ。······それよりも、その······いつもと違うお前が見られて、新鮮だったな」 どこか気まずそうに、うっすら頬を染める彼に「え」という口をしたまま思考停止した。 ヒートの時は、自分でさえ意識が曖昧になる。だから、自分がどのような失態を犯してしまったのか。 「······わ、私は何をしてしまったのですか」 「······そんな大したことではない。ただ普段との一人称といい、口調といい、あれがお前の素の姿なのだろうか······ああ、それから、とても甘えたがりだった」 「······!!」 オメガとなってしまい、急に両親に見捨てられてからというもの、とても愛に飢えていたと思うが、まさかその時にそのようなことを晒していたとは。 「申し訳ございません······!慶様にそのような羞恥を晒してしまうだなんて! 死んでも死にきれません!」 「何を物騒なことを。それよりも頭を垂れるほどでは······」 「ひとまず、ヒートが終わったわけではありませんので、私から離れてください······!」 「愛賀······っ、急に押すな、待て──」
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