第3話「ヒトの姿」

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第3話「ヒトの姿」

「信じらんねぇ…ってことは、さっきの頭ん中に聞こえたのはやっぱり…」 「神様だよきっと。 僕だって…でも、事実こうなってるんだから。 神様の言う通りに生きなきゃ」 モリナガは起き上がると俺の「手」を握った。 「よかった。 アカギの手も、僕の足も神様が治してくれた。 生きてるよ、僕達」 そう言うとモリナガは俺をぎゅっと抱きしめた。 「生きてる… でも、兄弟は…」 俺は今日達の骨に「四つん這い」で近づき、片手で骨を拾い上げる。 「ヨツバ…グリコ…」 俺より先に生まれたヨツバ兄貴と、弟のグリコ。 肉が食い尽くされてほとんど残ってない亡骸…。 ポタポタと、目から涙がこぼれた。 「アカギ…。 埋めてあげよう。 人間は仲間が死んだら、土に還るように埋めてあげるんだよ」 「あぁ…って、モリナガ?!」 モリナガは「足」で立っていた。 「なぁに?」 「後ろ足だけで立てるのか?」
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