3人が本棚に入れています
本棚に追加
冷たいものが体に、傷に染み込んでいく…
季節外れのそれは俺達の縄張り争いを中断させた。
タカナシの後ろの狼達は俺とモリナガから奪った脚を食うのを止め、空を見上げている。
「なんだ?!
どうして雪……
いや!この味は雪じゃない!!」
タカナシはペッと口の中の物を吐き出した。
「皆!この雪は苦味がある!
きっと人間の仕業だ!!
退くぞ!」
タカナシの号令で狼達は逃げていった。
「た…助かったのか…」
俺はすぐさま兄であるモリナガのそばに行く。
「止血するぞモリナガ!
生きろ!!」
俺はグッと力を入れてモリナガの食いちぎられた傷口の上に噛みつき、血を止めようとする。
「ふぅ…ふぅ…アカギ…もういいよ…
僕を置いて母さん達の所へ…」
「置いて行けるか!
泣き言言ってないでさっさと血を止めろ!」
「無茶…言わないでよ…」
最初のコメントを投稿しよう!