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少女マンガ的兄妹カンケイ
親の再婚で同い年の男子と一緒に暮らすことになるなんて、しかもその相手に恋するなんて少女マンガの中だけだと思ってた。血の繋がらない兄妹は結婚できるって知ってるのもマンガのおかげ。
でも、どう考えても結婚までの道のりがハードモード。
片想いのうちはまだ良かった。向こうもあたしを意識してるってわかってからの方がよっぽどがしんどい。
別々に家を出るのも、家の中ではアイサツくらいしかしないのも、両親は「思春期の男女なんだから」なんて言ってる。夕食後は部屋にこもって寝るまで壁越しにLINEしてるなんて知らないから。
もともと高校は同じだったらしいけど、クラスが違うから再婚が決まるまで義兄のことは把握してなかった。兄妹になってから図書館の端の席でよく見かけた男子だったと気づいた。向こうもあたしが図書館の常連だってことは知ってたみたい。
あたしと兄が面と向かって話しをするのは図書館の誰も来ない一角。
最初はお父さんの誕生日どうする? みたいな感じで始まったけど、それから放課後に図書館で会うのが日課になった。つきあうとか、そんな話にはならない。口にした途端あたしたちの関係は壊れてしまうから。
学校では再婚のことは内緒にしてるし、両親が別姓にしたから兄とは苗字が違う。それをいいことに、あたしと兄は恋人未満の友達みたいな顔をして二人きりの時間を確保した。
でも、それは長くは続かなかった。十一月末の三者面談のときにあたしのお母さんが兄と一緒にいるのを友達に見られてしまったから。
以来、あたしを見てヒソヒソと噂する人たちがいる。兄も同じみたいで、あたしたちの足は図書館から遠ざかり、それが噂好きの人たちの好奇心をさらにそそったようだった。
噂がいつ両親の耳に入るかヒヤヒヤしている。息を殺して耳を澄ませて、両親の態度に変化がないかじっと観察している。バレないように思春期の不愛想を演じて、早々に部屋にこもってLINEを送る。本当はちゃんと顔を見て話したいのに。
少女マンガみたいに両親が二人でどっか行って、そのあいだに急接近なんて都合よくは進まない。兄妹で思春期を演じ過ぎたせいで、『二人だけ家に置いていくわけには』って感じになってしまったから。
その結果、元日から家族四人で初詣に行くことになった。
地元の神社だし、友達に見られたら学校でまた何か言われるかわからないからけど。
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