安気

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 撮り溜めたドラマを見ながら食事を済ませ、掃除も一通り終わらせた。これは良い奥さんになるぞ、と自分を褒めながら ◯買い物に行く を果たすべく玄関ドアを開けると、心の声が叫んだ。 雨が降っているじゃあないか!なんて日だ!!  外に出るまで雨が降っていた事に気付かない自分に驚きながら落胆する。しかし決めた事はやり遂げる、それが私だ。  傘立てに手を伸ばすと、傘が一本増えていた……数日前に彼が”拾った”んだっけ。恐らく借りパクというものなのだろうが、ここでは有り難く使わせてもらう事にした。可愛い傘はデートの時にとっておきたいという乙女心(?)にニヤニヤしながら、傘を広げる。  いざ!戦場へ!! ……と力強く一歩を踏み出した筈が、私の二歩目はどこへ行ったのだろうか。  ここは戦場か!  何処からが夢なのだろうと冷静にな私に、隣の彼は話しかけてきた。 「片付け手伝ってくれてありがとね。 ねぇ、もう少し時間もらってもいいかな?」    
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