久し振り、だから…

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久し振り、だから…

今日は先生の部屋へ行く。 土曜日だけど学習塾には行かないと言っていたから、ずっと一緒にいられると思って朝からご機嫌にしていると、すぐに雷太さんにバレる。 「夏南央のトコに行くのか?」 「え?… う、うん… 」 今更恥ずかしがるのも変だけど、訊かれるとやっぱり恥ずかしい。 「帰ってくるのか?」 「う… ん… 連絡するね」 夏海くんがいるんじゃないかな? そしたらどうするかな? 暫くセックスしてないし、抱いて欲しいと思うけど夏海くんがいたらデキないよな… 。 『駅まで迎えに行くから、連絡して』 先生からのメールに顔が綻んだ。 「嬉しそうだな」 「え? うん、駅まで迎えに来てくれるって、歩いて五分くらいなのにね、迎えにきて貰うほどの距離なんかじゃないのにねっ!」 家の中をスキップして歩く僕をニヤニヤとして雷太さんが見つめている。 あ、もしかして、そのままホテルとかに行くのかな? やった、デキるかも知れないと思って更にスキップが弾んだ。 「よぉ、久し振りだな」 一週間ぶり、いつもと変わらないのにそんな挨拶の先生。 「うん、先生、仕事忙しい?」 もうすぐ夏休みで、学習塾の夏期講習も始まると言っていた。 「まぁな、今日も自主学習に来てる生徒はいるだろうけど、葵葉に会いたかったから他の先生に任せた」 淡々とした言い方だけど、嬉しくて顔が火照った。 「…… 夏海もいないし… 」 ボソッと先生が続けた。 えっ!? いや、喜んだら悪いよね、でもさ、だって… ね… 。 「夏海、アルバイトを始めたんだ、今日はバイト」 「アルバイト?」 「ああ、学校にも許可とって勝手に決めてた」 先生より柔らかい感じの夏海くんだけど、先生と同じように行動力があって羨ましい。 「そ、そうなんだ… 」 僕はアルバイトなんかした事なくて、少し気が引ける。 「夏海に話したんだ、レンタル彼氏の事」 アパートに向かいながら先生がポツリと話し出した。 「えっ!?」 思わず声が出て勢いよく先生の顔を見た。 「葵葉の言う通り、またあんな事があったらキリがないよなって思った」 「夏海くん、なんて?」 「すっごい怒ってた。軽蔑するって散々騒いだけど、僕の為だよねって最後は泣かれて困ったわ」 泣かれた切なさと許して貰えた安心の気持ちがゴチャ混ぜで、先生の顔は泣き笑いの様な笑顔になっていた。 「でも、良かった」 僕が先生に微笑みを見せると、何も言わずに少し笑顔で頷いた先生。 これでもう、あんな事はないと思ったのと、ちゃんと話してくれて、受験勉強をしていた頃のように僕を子ども扱いしていない先生が嬉しかった。 「昼飯、食ってく?」 どこかに寄ろうかと訊く先生に 「ううん、早く部屋に行きたい」 少し頬を赤らめて答えた。 だって、早く抱いてほしい。
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