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希世さんは居間の火鉢に火を入れられると、立ち上がって厨の方へと行かれました。
そして立ち止まって振り返ると、
「今朝のご飯はトーストでもよろしいですか」
と訊かれます。
私は微笑んで頷きました。
それを見て希世さんは厨へと入って行かれました。
私は書斎の改築の進み具合を見るために、書斎の戸を開けました。
すると昨日はかなり進んだらしく、綺麗に磨き上げられた床板が張ってありました。
棟梁が言っておられた明り取りの窓もあります。
冷え込む事を考えてか、昨日の内に明り取りの窓にも硝子がはめてありました。
完成のイメージがかなり見えてきました。
建具師の律さんが作り付けられる棚は、どうやら部屋の端から端までとかなり大きなモノになる様で、先生の持っておられる本をすべて収納しても、まだ余裕のある作りでした。
此処で先生と私が小説を書く事をイメージすると、心が躍る様でした。
私の机が置かれる場所に立ち、先生の机の方に視線をやります。
今度はお互いに背を向けて書くのではなく、私も先生もお互いの顔を見ながら書く事になります。
勿論、上座の方に先生の机が置かれる事になるのですが。
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