緋襷師匠

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私はカリカリに焼かれたトーストを口に入れると、珈琲を口にしました。 朝だけは少し砂糖と牛乳を入れて飲む事にしております。 「朝は、脳が糖分を欲してますので、少し甘めの珈琲を飲まれると良いですよ」 と編集者の白井さんが言われていたので、それをこのところ実行しております。 どうやら脳の働きを良くするためには糖分が不可欠だそうです。 希世さんも自分の食事を持って私の向かいに座られます。 かなり暖かくなってきましたが、希世さんはどんな日でも朝からこの先生の家を訪ねられ、朝食から夕飯までちゃんと準備して下さいます。 今年大雪が降った日に、 「希世さん。うちに住む気はないかな…」 と食事をしながら先生が仰いました。 私は先生が希世さんに結婚を申し込まれたのかと思い、聞いてはいけない話かと、聞こえないふりをしたのですが。 「いや、何…。希世さんも毎日此処に来るのも大変だろうと思ってね。家を増築するので、希世さんの部屋も作ろうと思うのだけど…。どうかな…」 先生も私が思った様に考えられたのか、直ぐにそう説明されてました。 「ああ、勿論、家賃などいらん。その方が希世さんも良いのではないかと思ってね。無理にとは言わんが…」 希世さんは少し考えておられましたが、直ぐに快く返事をしておられました。
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