緋襷師匠

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しかし、先生と二人で話していると、 「いや、希世さん程の家政婦さんは何処を探しても見つからん。今の内に囲っておかないと、逃げられたら困るんでな…」 そう言っておられました。 まあ、確かにそうです。 希世さん程の家政婦さんは何処にも居られないと思います。 しかし、希世さんが先生の家を辞められる事も無いとは思うのですが。 希世さんに良い人でも出来たら別なのでしょうが…。 私はスクランブルエッグというモノを匙で掬い口に入れました。 どうやら欧州では当たり前に朝食に出されるモノの様で、炒り卵に似ているのですが、味付けが少し違う様です。 「はい、ありがとうございます」 と玄関で白井さんの声が聞こえました。 「要君。先生から小包ですよ」 と今日も編集者の白井さんが訪ねて来られた様です。 白井さんがこの時間の来られる時は、朝食を食べておられない時で、希世さんは私の顔を見ながら微笑み、白井さんの朝食を準備するために厨へと入って行かれました。
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