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新入社員あらわる
雑居ビルの二階にある、小さなオフィス。そこが私の職場。
本社は渋谷のまさしく都会なビルだけど、こぢんまりとしたこのオフィスには、社員十人。私は入社以来下っ端のまま五年が経過していた。本社には毎年新入社員入るんだけどね。この小さなオフィスには新たな人材は必要ないと思われていたのか、一向に入って来なかった。
でも、そんな私に今日から後輩が出来るのだ!久々の大事な卵。大事にしっかり一人前になるように、私が育てていくんだ。
どんな子かなー?話しやすい子だといいんだけど。
私、いい先輩になれるかな?……あ、ちょっと緊張してきたかも。
チラッと時計を見れば始業五分前。
……ん?どうしたのかな?
とっくに来ていておかしくない時間。
というか、こなくてはいけない時間。
支社長の方をみれば、支社長も肩をすくめた。
具合が悪いなどの事前連絡はない。
まさか、事故……とか⁉︎
段々と心配になってきた。支社長に彼女の連絡先を聞いてみよう。
そう思って支社長に話しかけようとした時、バァンとオフィスのドアが開いた。
「おっはようございまぁーすっ!」
オフィス中に響き渡る大きな声で挨拶した、私たちが待ち望んでいた卵は、朗らかな笑顔でそこに立っていた。
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