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時は過ぎて、受験生になって、 勉強漬けで告白なんてことは頭からなくなったけど、 一息するたびに浮かんでくるのは彼だった。 努力の甲斐あって大学には受かったけど、 それは、つまり 卒業と同時にあの方面の電車には乗らなくなる。 もう、あの人には会えなくなるかもしれないって。 すごい嫌だった。 だから、 だめもとで告白しようと思った。 いままで、ずっと好きでした。って あと、ひとつわかったことがある。 あの人も、その年から大学生らしいってこと。 電車のなかでよく参考書を読むのを見るようになったから。 それから、 卒業式の何日か前に、いつものホームで待ち伏せして あの人を待った。 もう、ドキドキと手汗が半端じゃなくて、 「あの!」 叫ぶように呼び止めて 「え?」 予想もしなかった相手にびっくりしたのだろう。 「ずっと好きでした!付き合ってください! あなたと目が合って びっくりした。 吸い込まれるような綺麗な瞳 独特な雰囲気を醸し出して 目がはなせなかった。 私たちの周りだけ時間が止まっているような そんな感覚。
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