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「おれ?」
その言葉に、私はこくこくと頷く。
ちょうど、雲に隠れていた夕陽の光線がぴかっと差し込んで、辺りがオレンジ色に包まれた。
電車の出発のアナウンスが、唯一いつも通りで安心させる。
彼は突然の告白に驚いた様子で、じっと私の目を覗き込む。
よかった、、夕陽のおかげで耳まで真っ赤なのバレてないかも。
彼の第一声は断りだった。
「いや、あの、気持ちはうれしいけど…」「多分春から私と同じ大学だと思います!」
「なので、都合がよいのではないでしょうか?!」
言葉を被せるように自分でもすごく恥ずかしいことを口走ってしまって、
「あ、いや、ほら!!例えば、科目登録とか?試験対策とかさ!!」
「そう、知り合いがいた方がいいでしょう?!」
あたふた、必死に誤魔化そうする私を見て、彼は顔をふっとゆるめた。
「ははっ、それで俺に何かメリットある?笑」
「君みたいな純粋な子はやだな。
きっと傷つけちゃうし」
そう言いながら、横目でわたしを見た。
今思えば、それは伊織からの優しさと警告だったのだと思う。
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