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――だけど、そんな荒れ果てた聖域も遂に無くなってしまう。……もちろん、分かっていなかったわけじゃない。いつか、こんな日が来ることを。……だけど、まだ心の準備なんて出来て……いや、きっといつであっても出来るはずなんてない――
(――だから……だからね、湖春。一つだけ……たった一つだけ、約束してほしいの)
「…………やく、そく……?」
鬱々とした僕の思考を遮るように耳に届く少女の声。返答とも言えないような微かな僕の呟きが届いたのか、少し間があった後、彼女は再び言葉を紡ぐ。
(――うん。どうか……どうか、私を忘れないで。私も君のこと、決して忘れないから)
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