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……えっと、僕に用があるんだよね? 僕の肩を叩いたのは、彼女で間違いないだろうし。でも、いったいどういう――
「……あ、ごめん! もしかして邪魔だったかな?」
少し慌てて樹の前を去ろうとする僕。……そうだ、当然だけどここは僕だけの場所じゃない。きっと僕の方が年上だし、言いにくかったのだろう。気付かなかったとは言え、申し訳ないことをしてしま――
「…………え?」
刹那、再び驚愕し目を見開く僕。どうしてか、少女が控えめに僕の袖を掴んでいたから。顔を上げると、彼女は大きく首を横に振っていた。……邪魔、というわけではなかったみたいだ。だけど、それならどうして――
「……まあ、何でもいいか」
どうして僕に――そう思考して、止めた。理由なんて何でもいい――彼女の無邪気な笑顔を見てると、そんなふうに思えてきたから。
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