不思議な少女

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「こんにちは、今日も綺麗だね」 「…………」  それから、およそ十日ほど経て。  例の神社にて、桜の樹の(もと)に静かに佇んでいた少女へとそう声を掛ける。……なんか、台詞だけ聞くと軟派っぽい感じになっちゃったかも。でも、綺麗って言ったのはあくまで桜のことで……いや、彼女も綺麗だけどさ。  ともあれ、やはり彼女は何も言葉を発しない。例の如く無邪気な笑顔を湛え、そっと頷いてくれる。そんな彼女の様子に、胸の中にじわりと温もりが広がる。  あの日――初めてここで彼女にあった日から、僕らはこうして度々会っている。まあ、度々と言っても、まだたったの十日ほどではあるけれど。ともあれ、何かしら約束を交わしたわけでもないのに……それでも、これが直観というものだろうか、今日は彼女が待ってくれているであろうことが何となく分かったり……まあ、僕の思い上がりなのかもしれないけど。  
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