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そして、時間は現在に戻る。
「へぇ……2人だけで花見なんてしてたのか」
「花見なんて洒落たもんじゃない。ただ、あいつが居るような気がして」
「ふぅん……白雪お前かわいいな」
けらけらと笑う声は聞き間違うことない彼女の声で、白雪は目を見開き振り返った。
「……桜? いや、あいつは撥ねられてそのまま」
「勝手に死人扱いするなアホ」
桜はそう謐くと、白雪にヘッドロックを極めた。
「いてぇっ!?てことは現実」
悲鳴を上げる白雪に桜は溜息を一つ吐き、
「……大袈裟だなぁ。私だけ生き残ったから高知の親戚に引き取られてただけだよ」
「……そうだったんだ」
「あ、それと、今年から2人と同じ高校に通うことになったからまたよろしくな!」
「おう」
折角こうして3人再び集まれたのだから、このままあの日やるはずだった花見に洒落込むのも悪くない。ひらりと舞うつい数分前まで憎らしかった聴色のそれが、嫌う理由を失くした今となってはどこか愛らしく見えた。
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