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それからまた彼と異国の女性の二人だけがこの時期に私の元へとやってくるようになった。
何十年もここに寄り添って現れる二人の姿、彼の髪色も真っ黒から白い色が混じり灰色に変わっていた。女性は老いて皺が増えてもなお美しく、あの子の花が咲いたような笑顔はこの女性譲りなのだと気付くことができたのは最近のこと。
今年も彼らを待つ。彼らの為に一枚一枚ゆっくりと時間をかけて桃色を落とす。今日か、それとも明日か。もしかしたら今年は三人揃って現れるかもしれない。あの子も素敵な女性に成長しているのだろうか。
期待で根元から震えると周囲から歓声が上がる。綺麗だ、美しいという言葉が飛び交いその賛辞に浸っていると、私が待ち焦がれたあの感覚がいつもの方角から。
三人だ。あの子も含めた三人が向かってきている!
……でも、様子がおかしい。
あの子はやはり美しく成長していた。彼と女性の良い部分を兼ね備えて少女から立派な女性に。そして母親である女性も変わらない。老いには抗えないものがあるけれど綺麗に年を重ねている様子が見て取れる。
でも彼は。
どうして。
一体何が。
彼はこのたった一年で何十年も過ごしたように腰を丸め小さくなり、あの子が押す車いすに乗せられていた。
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