ヒビ

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ヒビ

三羽(みわ)さん、どしたのそれ……」 「え、三羽さんだよね? 中身宇宙人だったりしないよね?」 「ジョークのつもり?」 「どういう原理で浮いてんのそれ」 「いい子だからスーパーに戻してらっしゃい。  ……え? 触れないの?」  出勤後も注目を集め続けた私は、昼にはすっかり疲れていた。  入社二年目、ただでさえあまり役に立たずに肩身の狭い思いをしているのに。 「頭の上 たまご」で何度も検索したけど、解決策は出てこない。わかったのは、私と同じように突然頭の上にたまごが浮き始めた人が全国に他にもいる、ということだ。 「一人じゃないって、すってきなことね……」  虚ろな目で古い歌を小さく口ずさむ。人目を忍んで会議室の真ん中で1人、非常食用のカップ麺をすすっていると。 「三羽ちゃん!」  勢いよく会議室のドアが開いた。 「こんなところにいたのね、元気?」 「おっ、相変わらずたまご浮いてるな」  そこにいたのは、私を可愛がってくれている二人で。 「小石主任……大岩先輩ぃ……」  私の声は若干、震えてしまう。  ドアを開けたのはすらりとしたスタイルの小石主任。  主任の後ろから「俺、慣れてきた気もします」と話すのは大岩先輩。 「商談長引いて今帰ったの。私達、ここでご飯食べていいかしら」  小石主任はコンビニ弁当を、大岩先輩は手作りのお弁当を見せる。  私はこくこくとうなずき、ランチタイムは賑やかになった。
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