3人が本棚に入れています
本棚に追加
5月12日(金) 下校時
(米イメージ絵)
夜宵:・・・・・・!
早月:──。
早月と、目が合った。
その瞬間、僕は逃げるように早歩きで下足から出ていった。
そして出たあと、正門まですぐに走り出す。
辿り着いた。抜けた。振り返る。
──いる。見られてる。
僕は、彼から死角になったところまで来ると、また走り出す。
そして、しばらく走ったあと、彼が正門から抜けたと思われるタイミングで歩き出し、一応振り向く。
そしたら、ちょうどよく彼が正門を抜けていた。
僕は早歩きで逃げようとする。
──でも、“音”が聞こえる。
走っている音だ。
だから、僕はあえてスピードを落とした。
──抜かされた。
夜宵:・・・・・・・・・。
少し苦しくなった。
何もされてないのに。
抜かされたあと、早月は遠くの押しボタン式信号機に引っかかり、後ろを向いて僕を見ようとしていた。
僕はそれが嫌になって、怖くなって、違う道から走って帰った。
──例え、僕のことを、気にされていなかったとしても。
──例え、彼がただ早く帰りたかっただけだとしても。
──「逃げる」しか、出来なかった。
──この状況を、「壊す」なんて無理だ。
──僕には、出来ない・・・・・。
最初のコメントを投稿しよう!