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4月11日(火) 朝
押しボタン式信号機のボタンを押して、待つ間に少し来た道を振り向いた。
──下を向いていた早月が、すぐそこにいた。
仮に、彼が話しかけようとしていたら、声は届く。私の声も届く。
私がもし、2秒くらい止まっていたら・・・もしかしたら、抜かされていたかもしれない。
でも、今はそんなことを言ってる場合じゃない。
この状況を乗り越えるために私がすること、それは・・・・・奥の信号に間に合わせることと、彼から離れること。
・・・・・・──え?
自分で思い浮かべた言葉に、一瞬疑問を抱いた。
だけど、無慈悲なことに信号は切り替わった。
時は流れていくものだから、慈悲も何も無い──そんなの、知っている。
・・・・・だけど。
──私は反射的に、走り出していた。
彼はほぼ後ろにいるはずだ。
彼からすれば、“逃げた”か、“離れた”とかだろう。(当然その他の考えも有り得る。)
でも私は、自分に言い聞かせた。
「私は逃げようとして走ったんじゃない。信号に間に合わせるために走っただけだ。」
──と。
でも、すぐに思う。──なんで?
──なんでそう言い聞かせるの?
──そんな言い訳、必要あるの?
──私は、何がしたいの?
・・・分からない。
そんなの、分かるわけない。
未だに自分の気持ちを正直に伝えれず、ただ過ぎていく時間が嫌になっていく。
──時間が止まって欲しいわけじゃない。
──時間が戻って欲しいわけじゃない。
──時間が進んで欲しいわけじゃない。
──この時間が続いて欲しいわけじゃない。
そんなんじゃない。
──じゃぁ何?
──分からない。
言いたいことがあるのに、言いたくない。
会いたいのに、会いたくない。
──凄く嫌ってるのに、凄く愛してる。
全部矛盾している。
矛盾だらけだ。
こんなの、凄く腹立つ──・・・・・・。
•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆
正門に辿り着いた。
正門まで、早月の人影は見なかった。
私は信号を渡ってからずっと走っていたし、間に合わせようとしていた信号機にも無事間に合って渡り切れた。
そしてその後も、少し走って今よりも距離を離しているかのような動きをしてしまっていた。
その行動は一体何故なのか。もしかしたら、拒絶反応を起こしていたのか?
・・・それすらも分からない。
夜宵:・・・・・あ
そういえば、藤川 弘之助の出席番号を確認していなかった。
藤川と同じクラスになって、基本の朝の鍵当番が私か藤川の2人になった。
確認しておけば、鍵を取りに行く必要があるかどうか、下足ホールでわかると言うのに。
・・・でも今は、時間をかけたくない。
・・・早く行かなければ──
警備員:おはようございます。
夜宵:──!ぁ、おはようございます
急にあっさりした感じの挨拶をされて私は驚いた。
警備員:今年から3年生だね、頑張って。
夜宵:はい、ありがとうございます(*^^*)
私は一礼して、その場を去った。
・・・・・いや、言うほど急がなくて良かったかもしれない。
正門を抜ける早月の人影は、校舎の中から今も見えていない。
私は少し安心しながら、教室の鍵を取りに行った。
夜宵:──失礼します。3年3組の、小豆原です。教室の鍵を取りに来ました
少し声のトーンは低いだろうが、もう慣れた口調で鍵を取り、日誌片手にリュックを背負い直して教室へ向かう。
・・・・・教室に入ったら、窓をすぐに開けて、髪を結ぼう。
教室に辿り着いて、教室の南京錠を開ける。
扉を開けて、電気を着け、そのまま鍵をフックに掛け、日誌を置き、荷物を下ろし、流れるように窓を開け始める。
淡々と動いていき、廊下側の窓は開け終わる。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・ベランダ側の高いところの窓が届かない。
・・・・・・こういう時に背の高い人がうちのクラスにはいない。
背の高いって言っても、上の窓に届く人なら低い方の人でも十分だが(、ただし私より高い人で)。
──ガチャンっ
夜宵:・・・・・・・・・
──来たな。
・・・・・・別に、目の前を通られるわけじゃないから、どうでもいいんだけど。
・・・とりあえず、私はただ髪を結ぼうとする。
・・・・・・そしたら、早月が3組の前を通って東の方へ行ってしまった。
私は今だと思い、水道上の窓を開けに行く。
──キュィィィィィ
夜宵:五月蝿いな──
そこそこ大きな音が廊下に響く。
この窓、開ける時にこんなに五月蝿い音が出るのが嫌すぎる。
・・・どうにかならないかな。
そんなことを思っていると、ある物が目に飛び込んできた。(物理的では無い。)
・・・・・・・・・・・・画鋲が置いてある。
一体どうして・・・とは思うが、気にしない。
・・・そろそろ早月が戻ってくる。
・・・早く戻らないと。
そしてわたしはそのまま急いで教室に入る。
しばらくして、結愛がいたから結愛と話すために廊下に出たりした。
早月は4組の窓から宮増さんと話してた。
宮増さん4組だから、場合によってはこういうことが多くなるかも?
あ、そういえば・・・
亜留:襟川〜
早月:?
亜留:どうにかしてー・・・(と私のことを言う)
夜宵:おい?
早月:え?
宮増:・・・?
亜留:どうにかしてーって──
夜宵:おーい亜留?(連行)
亜留:ちょちょっ・・・。
早月:・・・のり貸してって聞こえたんだけどww
宮増:俺もそう聞こえたw
そして、亜留もう一度挑戦。
亜留:なー、どうにかしてやー・・・。
早月:のり貸してって?ww
亜留:あダメだこいつら通じない(諦)
夜宵:うん諦めなww
・・・・・・そう、諦めた方が、いいの。
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