やり遂げる為に

5/7
前へ
/145ページ
次へ
5時間目 学年集会の後 学年集会が終わり、私達生徒は1組・6組→2組・5組→3組・4組の順に体育館を出る。 そして、私も愛美と一緒に体育館を出ようとした・・・その時。 金崎(かねざき)先生:──夜宵、愛美。 愛美:あ、金崎先生。 先生:久しぶりやね。 金崎先生・・・2年生の時には4組の担任で、私がどこかで元素記号からAu先生と名付けていた記憶がある。 先生:そういえば愛美、1年生に妹おるやんな? 愛美:居ますけど、なんで知ってるんですか? 先生:昨日の入学式の受付担当で、中原(なかはら)って苗字があったから。 愛美:えっ、先生1年生の担当ですか? 先生:ううん、受付担当ってだけ。3年2組やで。 夜宵:・・・・・・・・。 ・・・・・また、早月の担任だったな。 先生:妹、愛美に似てるやんね。 愛美:え、そうですか? 先生:だって私愛美にいいイメージしかないから。 夜宵:あ、先生の意見分かります。 先生:そうやんな。 愛美:ええ・・・(⸝⸝> ー <⸝⸝) そして、私達が教室に戻ろうとしたら・・・。 先生:あっ、夜宵、ちょっといい? 夜宵:──、はい、なんでしょう? 愛美とさっき合流した子が、少し離れたところで話している。 どうやら、私が先生と話終わるまで待つようだ。 ──しかし、私は話す内容をだいたい察していた。 先生:最近・・・・・襟川とどう? 夜宵:──っ ──やっぱりそうだ。 私は顔にも声にも出ないようにしたが、少し胸が痛くなった。 夜宵:何もありませんよ、ただの隣のクラスの方です。 先生:あー、それならええんやけどな。 ──けど・・・何ですか? 夜宵:・・・あっ、2人とも、先戻ってていいよ。 愛美:あ、うん分かった。 先生:そうやな。 私がそう言って、愛美ともう1人は教室に戻った。 ピロティには、私と先生、他の先生も1人職員室に向かうところで、(わたる) 幸之助(こうのすけ)も今から戻ろうとしている。 先生:幸之助、もう戻りーや。 幸之助:はい。 眠そうな声で、渉が教室へ向かって行った。 先生:・・・それでな、夜宵は最近、襟川のことでなんか困ってることとかない? 夜宵:──。そうですね・・・・・ 私は少し、先生の奥・・・──否、宙を見た。 ──私がしようとしている事は、おかしい事なのかもしれない。 ・・・だから、私は言う必要がないものとして置いてはいるが、4人程か、私が言おうとしていることに対して知っていたりする。 その内の1人は忘れていそうなので、私は気にしていないのだが。 夜宵:──元の関係があるからなのか、最近少し、モヤモヤしています。それが何なのかは・・・分かりませんが・・・。 先生:モヤモヤか・・・・・・私また、襟川の担任持ったからさ、何かあるんやったら言ってな。 夜宵:はい。 先生:今はそんなに長いこと時間取れないし、今話しかけたのだって少しタイミングがあったからやからさ。 ・・・・・・確かに、学年集会の後は帰るだけですもんね。 先生:もしここで長々と話してて夜宵が帰ってくるの遅くなって「何があったんや?」って聞かれるのもちょっと嫌やろうし。 ・・・・・・・・・。 ──私のことを心配してくれる人なんて、そんなに多くありませんよ。お気遣い痛み入ります。 ・・・・・・、・・・・・嫌、か。 「そんな事ない」っていう思いが、顔にも、声にも出ないのが、どうしても自分の感情の有無を疑ってしまう。 夜宵:・・・そう、ですね。 私は、苦笑いしているのか、少し口角を上げ、眉尻を下げた。 ──この心は、嫌という感情を感じ取りにくければ、良いという感情も感じ取りにくいというのに。 何が良くて、何が嫌なのか、全然分からなくなってる。・・・そんな気がする。 ──胸が、重い。 さっき愛美と一緒にいた時までは、軽かったのに。 ──なんで? 先生:せやから、休み時間とかにそのモヤモヤとかの話を聞かせてくれん? 夜宵:・・・、分かりました、その前に、襟川さんの気持ちも聞いてほしいです。 先生:うん、分かった。それじゃぁ、夜宵もはよ帰りや。 夜宵:はい、ありがとうございました。 私は笑顔で教室に戻ろうとした。 ・・・・・急がなきゃ。 ・・・・・・・・でも。 ・・・・・っ、・・・・・・でも。 ──胸が、苦しい。 ──しんどい。 ──息が、上がってる。 ──どうして? ──冷たい。 ──重い。 ──痛い。 ・・・・・──早く、戻らなくちゃ。 ──戻らなくちゃ、戻らなくちゃ・・・・・そうしなきゃ、いけないのに・・・・・。 ・・・私は、凄く苦しそうな顔をしていただろう。 ・・・でも、そんな顔のまま教室に入ったら、気にされるかもしれない。 別にいらない。そんなの、要らない、気にしないで。 ──だからまた、私は笑顔で教室に入った。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加