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5時間目 学年集会の後
学年集会が終わり、私達生徒は1組・6組→2組・5組→3組・4組の順に体育館を出る。
そして、私も愛美と一緒に体育館を出ようとした・・・その時。
金崎先生:──夜宵、愛美。
愛美:あ、金崎先生。
先生:久しぶりやね。
金崎先生・・・2年生の時には4組の担任で、私がどこかで元素記号からAu先生と名付けていた記憶がある。
先生:そういえば愛美、1年生に妹おるやんな?
愛美:居ますけど、なんで知ってるんですか?
先生:昨日の入学式の受付担当で、中原って苗字があったから。
愛美:えっ、先生1年生の担当ですか?
先生:ううん、受付担当ってだけ。3年2組やで。
夜宵:・・・・・・・・。
・・・・・また、早月の担任だったな。
先生:妹、愛美に似てるやんね。
愛美:え、そうですか?
先生:だって私愛美にいいイメージしかないから。
夜宵:あ、先生の意見分かります。
先生:そうやんな。
愛美:ええ・・・(⸝⸝> ー <⸝⸝)
そして、私達が教室に戻ろうとしたら・・・。
先生:あっ、夜宵、ちょっといい?
夜宵:──、はい、なんでしょう?
愛美とさっき合流した子が、少し離れたところで話している。
どうやら、私が先生と話終わるまで待つようだ。
──しかし、私は話す内容をだいたい察していた。
先生:最近・・・・・襟川とどう?
夜宵:──っ
──やっぱりそうだ。
私は顔にも声にも出ないようにしたが、少し胸が痛くなった。
夜宵:何もありませんよ、ただの隣のクラスの方です。
先生:あー、それならええんやけどな。
──けど・・・何ですか?
夜宵:・・・あっ、2人とも、先戻ってていいよ。
愛美:あ、うん分かった。
先生:そうやな。
私がそう言って、愛美ともう1人は教室に戻った。
ピロティには、私と先生、他の先生も1人職員室に向かうところで、渉 幸之助も今から戻ろうとしている。
先生:幸之助、もう戻りーや。
幸之助:はい。
眠そうな声で、渉が教室へ向かって行った。
先生:・・・それでな、夜宵は最近、襟川のことでなんか困ってることとかない?
夜宵:──。そうですね・・・・・
私は少し、先生の奥・・・──否、宙を見た。
──私がしようとしている事は、おかしい事なのかもしれない。
・・・だから、私は言う必要がないものとして置いてはいるが、4人程か、私が言おうとしていることに対して知っていたりする。
その内の1人は忘れていそうなので、私は気にしていないのだが。
夜宵:──元の関係があるからなのか、最近少し、モヤモヤしています。それが何なのかは・・・分かりませんが・・・。
先生:モヤモヤか・・・・・・私また、襟川の担任持ったからさ、何かあるんやったら言ってな。
夜宵:はい。
先生:今はそんなに長いこと時間取れないし、今話しかけたのだって少しタイミングがあったからやからさ。
・・・・・・確かに、学年集会の後は帰るだけですもんね。
先生:もしここで長々と話してて夜宵が帰ってくるの遅くなって「何があったんや?」って聞かれるのもちょっと嫌やろうし。
・・・・・・・・・。
──私のことを心配してくれる人なんて、そんなに多くありませんよ。お気遣い痛み入ります。
・・・・・・、・・・・・嫌、か。
「そんな事ない」っていう思いが、顔にも、声にも出ないのが、どうしても自分の感情の有無を疑ってしまう。
夜宵:・・・そう、ですね。
私は、苦笑いしているのか、少し口角を上げ、眉尻を下げた。
──この心は、嫌という感情を感じ取りにくければ、良いという感情も感じ取りにくいというのに。
何が良くて、何が嫌なのか、全然分からなくなってる。・・・そんな気がする。
──胸が、重い。
さっき愛美と一緒にいた時までは、軽かったのに。
──なんで?
先生:せやから、休み時間とかにそのモヤモヤとかの話を聞かせてくれん?
夜宵:・・・、分かりました、その前に、襟川さんの気持ちも聞いてほしいです。
先生:うん、分かった。それじゃぁ、夜宵もはよ帰りや。
夜宵:はい、ありがとうございました。
私は笑顔で教室に戻ろうとした。
・・・・・急がなきゃ。
・・・・・・・・でも。
・・・・・っ、・・・・・・でも。
──胸が、苦しい。
──しんどい。
──息が、上がってる。
──どうして?
──冷たい。
──重い。
──痛い。
・・・・・──早く、戻らなくちゃ。
──戻らなくちゃ、戻らなくちゃ・・・・・そうしなきゃ、いけないのに・・・・・。
・・・私は、凄く苦しそうな顔をしていただろう。
・・・でも、そんな顔のまま教室に入ったら、気にされるかもしれない。
別にいらない。そんなの、要らない、気にしないで。
──だからまた、私は笑顔で教室に入った。
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