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それでも想いは変わらない
4月19日(水) 昼休み 2組の前
先生:・・・──はい手合わせて、ご馳走様でした。
夜宵:・・・ご馳走様でした。
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先生:モヤモヤか・・・・・・私また、襟川の担任持ったからさ、何かあるんやったら言ってな。
夜宵:はい。
先生:今はそんなに長いこと時間取れないし、今話しかけたのだって少しタイミングがあったからやからさ。もしここで長々と話してて夜宵が帰ってくるの遅くなって「何があったんや?」って聞かれるのもちょっと嫌やろうし。
夜宵:・・・そうですね。
先生:──せやから、休み時間とかにそのモヤモヤとかの話聞かせてくれん?
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夜宵:・・・──行こっか。
私は2組の所へ行って、金崎先生を呼ぶために行った。
窓際では、早月と思われるシルエットが見える。
夜宵:・・・先生〜
先生:?、私?
夜宵:はいそうです
私は、早月の位置から私が見えないようにして、金崎先生を呼んだ。
夜宵:・・・・・それで、授業前に声掛けて・・・以前の学年集会の後に、お話してましたけど・・・それについてです。
先生:うん。
・・・・・・・・・───。
夜宵:・・・その、私と向こうの間に何かあったわけではありません。最近は、隣のクラスということもあって、会うことはありますが、お互い何もせず、反応もしずに、ただすれ違う・・・と言った感じです。
さっき・・・・・昼食前だって、早月にちょっと・・・ううん、結構見られた。
先生:そうなんやな。
夜宵:はい。・・・でも、時々私は反応してしまいます。
その昼食前に会った時だって、私は・・・凄い、苦い顔・・・?をしてたんだと思う・・・。
夜宵:あっ、そんな大袈裟に反応したりはしません。・・・ただ、すれ違った時に少しモヤッとするというか・・・苦しくなります。
先生:あー・・・大袈裟に反応はせんけど、少し苦しくなる・・・。
夜宵:・・・なぜそうなってしまうのかは・・・よく分からないんですけど、私は彼を気にしているんだと思います。
──だって、本当に・・・私は・・・・・僕は・・・・・・。
先生:そっか・・・、・・・・・そう気にするのは、別に睨まれたとか、なんかされたとかじゃ、ないんやな。
夜宵:はい。
・・・・・・睨まれてないけど、見られてるから・・・だろうな・・・。
先生:・・・私の意見なんやけどな、あんまり夜宵は向こうのことを気にせんでいいと思う。
・・・・・・僕だって、気にしたくないですよ。
先生:無理に関わろうとしなくていいと思うし、そんな夜宵だって、その人がいなかったら精神がやられるとか、夜宵はそんな感じじゃないやろ?だから、今の距離感が1番いいと思う。
夜宵:・・・・・そうですね。
・・・・・・僕は、早月のお陰で自分に・・・少しでも自信を持つことが出来た。人と関わることの楽しさも、早月のお陰で知れた。
話すことも、得意になった。人前で話すことも、体温は上がるけど、楽しいって思えるようになった。
初めましての人に声をかけれて、愛想良く話せるようになった。
先生:だってさ、無理に詰めようとしてきたら、向こうは嫌がるかもしれんし、夜宵だって急に詰めてこられたら「えっ」ってなるじゃん?
──何も、思いませんよ。・・・・・思えないんです、僕は。・・・・・本当に・・・・・・本当に、お気遣い痛み入ります。
夜宵:・・・はい。
先生:それに、夜宵は夜宵で上手いことやってるし、彼は彼で上手いことやっていってる。夜宵、聞いたで?新しく来た子に愛美と一緒に、1番最初に声掛けたって。絶対嬉しかったと思うわ。
夜宵:・・・・・・・そう、でしょうか。
・・・・・・確かに、その子に話しかけようって初めに言ったのは、僕だけど・・・。声掛けたのは、ただ、その子と愛美が席近いから、その子にとって頼れる人が、近くにいたらいいかなって・・・頼れる人が増えたら、いいかなって・・・だけだった、のに・・・?
先生:そうやで。・・・だから、夜宵が早月のことを気にするのはあっても、夜宵は彼が居ないとダメってわけじゃなさそうやし・・・
──確かに、早月が居なくても・・・・・、・・・・・・大丈夫、だけど。
先生:──今のままでも、夜宵は充分楽しそうやから。1年生の時と比べたら、表情めっちゃ良くなってるで?
───っ!
・・・・・・・・・・・・そう、なの・・・か?
・・・少し、胸が痛くなったような気がする。
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夜宵:意識してないのに作り笑いしてた。最近。
亜留:やっぱり。薄々気付いてた。
夜宵:流石にバレてるか・・・
亜留:いつもいじる時、ニコニコの笑顔で返してくれたけど、今日は目が笑ってなかったし作り笑いしてるなと思った。朝の時も。
夜宵:おぅふ・・・
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・・・・・・・・・気付けば、左手で右手首を掴んでいた。
・・・あはは・・・・・なんでだろうなぁ・・・・・・。
・・・・・・今の僕の表情、アニメとかでよくある目のハイライトが消えたみたいな表情してるのかな。
・・・そんな事ない、と・・・いいな。
先生:だから、早月とはこれからも、このままの距離でいいと思う。
夜宵:・・・はい。無理に近付こうなんて、思ってません。向こうが嫌がることもしたくありませんし、それでまた何かあっても、私だって嫌です
先生:そうやんな。
夜宵:はい
私は、先生を安心させるためなのか、微笑んでいた気がした。
夜宵:・・・・・、・・・先生は何か、彼から聞きましたか?
先生:うん、聞いたよ。・・・・・・早月は、彼なりに工夫してるらしいねん。最近やったらさ、登校する時間とかちょっとズラしたりして、なるべく会わないようにしてるんやって。
──えっ・・・。
夜宵:・・・・・・会わないように?
先生:うん。こっからは私の推測なんだけど、早月は前みたいにならないようにしてるんやと思う。
夜宵:・・・・・・。そうでしたか
それなら・・・・・そうだと、すれば・・・。
昼食前に、早月が引き返したのにも、納得いく・・・かも。
・・・・・・・・・あーあ。
──そう聞いたら、もう何も言えなくなってしまいそうになった。
・・・僕がしようとしていることもやりづらくなっちゃって、僕はもう、諦めることにした。
僕が彼にしようとしていること・・・・・・を───。
・・・そもそも、“それ”を言うのは、実にバカバカしい話だ。
僕と彼との関係は、僕達の「全て」を知れば、誰がどう言おうと、フォローしようとしても、フォロー出来ないし、「いい関係」なんて言えない。
それに、僕と彼のことで「くっつくならはよくっつけ」って言われていたことを教えてもらった。
でも、そんなの出来ないって分かってるから、僕は諦めるしかないんだ。
・・・・・・──だって、早月に「好き」って言おうとしたら、その「好き」を言うために距離を詰めることになる。
それで早月を煩わせるくらいなら、言わない方がきっといい、と思う。
・・・もしかしたら、早月は先生の前だからこそ、「会わないようにしてる」って言ったのかもしれない。
その「会わないようにしてる」っていうのが、もしかしたら僕が嫌いだから避けようとしているってことなるかもしれない。
──でも、それでも僕は早月を信じる。
早月が会わないようにしてるんだったら、僕は早月の意思を守りたい。
早月を、もう困らせたくない。
・・・それが、もしかしたら早月に今よりも嫌って欲しくないからかもしれない。
でも、僕だって今の距離感を保ちたい。
今のままであることが、いい結果を連れてくるって、・・・そう、願ってる。
僕の想いが、風に乗って早月の元へ運ばれるわけじゃないから、僕は僕の気持ちが伝わらなかったとしても、大丈夫だって思える。
その行いを、後々僕は振り返ってしまうかもしれない。
──でも、後悔はしない。
振り返ったところで、振り返った物事が戻ってくることはない。
だから、絶対に後悔したくない。
僕の行いの結果を、後悔しない。
だってそんなの、楽しくないじゃない。
後ろは振り返らない。前を向いて歩こう。
──過去は戻ってこないから。
僕が主人公の物語なら、せめて、好きな人の気持ちも守らせてよ。
──絶対に守りたい。
夜宵:・・・・・・、色々ありがとうございました。
先生:ううん、話してくれてありがとうな。
夜宵:・・・、はい(*^^*)
その後、陽佳が何かしてたからそれを金崎先生が見てたでってなって、話してた。
神﨑 陽と荻野 リア・・・あと、濱内 愛生も居た。
でも、そろそろ教室に戻る時間だってことを知っていた。
だから僕は、「では、私はそろそろ戻りますね」とまた下手な作り笑いで教室に戻った。
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──ねぇ早月、今の僕がどれだけあなたの事で泣いても、今だけは許して・・・。
後悔しないって、決めたのに。
それでも、僕はまた振り返ってしまうんだ。
愛美が教室に戻ってきた時、僕は愛美に、早月に言おうと思っていたことは諦めると言いに行った。
一応、愛美は僕が言おうとしていることを知っていたから。
・・・・・あはは、
・・・・・・なんで、かな。
早月が先生に言っていたことを教えてもらって・・・それで・・・決めれたのに。
・・・・・・どうして、こんなに悲しいのな。
泣きそうで、苦しい。
誰にも、この顔を、見て欲しくないな・・・。
僕・・・・・・今、どんな顔してるのか、分かんないけどね・・・。
──ううん、後悔しないって、決めたんだ。
後悔しない、よ・・・・・僕・・・──。
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