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それから私は、弓道を始めることになった。 一緒に弓をひくのを手伝ってくれた男の人は先生だった。 初めのうちは遊び感覚であったが、周りの人達の弓の力強さと 「しゅー」 という音に憧れて、追いつきたいと見よう見まねで練習した。 家でも父が作ってくれた弓と矢で毎日練習した。 その甲斐もあり、すぐそこに矢が落ちてしまっていたのが、日に日に距離が伸びていった。 そんなある日、 「みくちゃんは頑張っているから今日から基本からちゃんと教えていくよ」 と先生から言われ、「射法八節」を教わり始めた。 的に向かって足を前後に開き、 腰を安定させて上半身を固定する。 弦と矢を一緒に左手に、弓を右手で持って的を見る。 握ったまま両手を上げて、弓を前に押し、弦を引きながら両手を下ろす。 的を見ながら弦を離し、矢を射る。 矢が離れた姿勢を保つ。 これを先生は分かりやすく教えてくれた。 まずは弓だけを使って、何回も何回も繰り返しやって体に覚えさせていく。 弦を張る力が弱いので腕立て伏せをして筋力アップをはかっていった。 一連の所作がスムーズに出来るようになったので矢を使って繰り返しやっていく。 自分でもどんどんとよくなっていることが分かったので楽しくて仕方ない。 「みくちゃん用の的作ったよ」 と先生は、木で的を作ってくれたので、的に当てる練習に変わっていく。 なかなか当たらなかったが、初めて 「かーん」 という音を立てて、矢が的に当たった時はとても嬉しかった。
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